【徹底解説】伸びた革靴を戻す方法と、革が伸びる仕組み

「買ったときにはちょうどよかった革靴が伸びてしまった。。」

「最近、革靴が歩きにくく感じる」

新品で購入して3ヶ月くらい革靴を使うとよくあるのが、こうしたお悩みではないだろうか。

実際、筆者にもそうした経験がある。「革靴は伸びる」というのは牛革という素材の特性上、避けようがないからだ。

しかし、靴というものはサイズが合っていないと履くことができない。服と違って「オーバーサイズだから」という誤魔化しが通用しないのだ。もしぶかぶかな靴を履き続けると、足から膝、腰、ひいては体全体に悪影響を及ぼす

しかし履いていくうちにサイズが伸びてしまっても、解決策はある。正しい方法でアプローチをすれば、お気に入りの靴を再び履くことができるということだ。

●不要になった靴を手放すには・・・

↓【箱に詰めて送るだけ】靴も得意な買取店。

REGALなどの革靴を売ると買取金額3000円ごとに1000円プレゼント↓


革靴はなぜ、伸びてしまうのか。伸びやすい素材とは

革靴が伸びるか伸びないか、またはどのくらい伸びるのか。それは「どういう革が使われているか?」に大きく左右される。

結論からいうと、伸びるのは「本革」だ。合皮はいくら履いても伸びない。

ただし一口に本革といっても使われる素材は様々だ。牛革、スエード、馬革(コードヴァン)、鹿革・・・果てはワニや蛇、象革の靴もある。これらすべてが伸びる特性を持っているわけではない。

この中で一番使われることが多いのは、牛革だろう。

牛革の靴

牛革は伸びる特性を持った革だ。見た目からは想像できないかもしれないが、この素材は繊維質でできている。

 

牛革の構造。繊維質でできた「床面」の上に、銀面(表皮のようなもの)がかぶさっている。

革靴として使用し、断続的に力がかかると、複雑に絡み合った繊維質が徐々にほぐれていく。そうして繊維同士の隙間が大きくなっていくと、当然ながら表面積は大きくなっていく。結果、「伸びた!」ということになるのだ。

スエードの靴

スエードも牛革だが、この場合は特に伸びやすくなる。

スエードは牛革を削って仕上げた革なので、本来の革よりも薄くなっていることが多いからだ。

強度がもとの革よりも低下するため、靴として使用したときの負担には弱くなる。

グッドイヤーウェルト製法の靴

国産だと3万円以上の靴に多いのが「グッドイヤーウェルト製法」だ。

この製法はインソールにも革が使われている上、靴底の内部にコルクが入っている。

履き続けるうちにコルクが足の形に沿って沈んでしまい、サイズがゆるくなってくる。

グッドイヤーウェルト製法の靴は10年以上使えるほど耐久性があり、高級な靴にはなるものの、「サイズが変動する」という点ではデメリットを抱えているともいえるだろう。

革靴が伸びることで起きる問題

では、革靴が伸びるとどういう問題が起きるのだろうか。「歩きづらくなる」というのはもちろん正解なのだが、もっと深刻な症状に発展することもある。

少しでも「サイズが合わない」と感じたら、その革靴は一旦使わないようにしたほうがいい。

タコ・魚の目

足の皮膚に起きる疾患で、皮膚の一部分が爪のように硬化する。特に魚の目は激しい痛みを伴う。

靴が横方向に大きくなった結果、靴の中で足を固定することができなくなる。そうすると靴の中で足が前に滑ってしまう現象が起きる。

靴は先に向かって細くなる形をしているため、足が泳ぐと靴の先端部分に指がぶつかってしまう。そうして当たった部分の足の皮が硬化し、タコや魚の目ができるのだ。

タコは皮膚が硬化するだけだが、魚の目は硬化した部分が皮膚をえぐるように進行し、神経を刺激する。こうなると激しい痛みを伴うため、市販の薬で早期に取り除くことが重要だ。もし進行してしまったら、皮膚科で診療を受けよう。

歩き方が崩れ、健康上の問題に発展

靴が足をホールドできなくなり、歩きにくくなるとどうなるか。無意識のうちに歩き方が乱れ、人間が本来持っている「歩行の際に掛かる衝撃を吸収する能力」を発揮できなくなる

結果として膝や腰に負担がかかり、ダメージが蓄積されると壊れてしまう

足は体を支える土台の部分だ。狂ってしまうと、内臓や脳までも破壊しかねない。特に高齢者の場合、合わない靴が遠因となって寝たきりになってしまう可能性も0ではないだろう。

これをすると伸びやすい!革を伸ばしてしまうNG習慣

革は水分を含んだときに最も伸びやすいという性質を持っている。つまり、革靴はなるべく水分や湿気をためない状態で使えば、サイズの変動を抑えることができる

水分過多の状態にしてしまうと、カビや水虫の原因にもなる。そして、多くの人は革靴を高温多湿の状態で放置しているのが現状だ。

雨の日に履きまくる

雨に降られるのは仕方がないが、きちんと乾かそう

土砂降りで内部まで濡れてしまった場合、最低でも1週間程度乾かさないと水分を抜ききることができない。しかし、多くの人は乾ききらないうちに革靴を履いてしまう傾向にある。

革が水分を含んだ状態で再び力がかかることになるので、その分伸びは加速してしまう。

同じ靴を連投させる

これも多くの人がやらかしてしまうパターンだが、2日連続で革靴を使うのは今すぐにやめよう

人間の足は1日にコップ一杯分の汗をかくと言われている。革靴はその水分を含むことになるため、尋常ではないスピードで伸びやすくなってしまう。そうならないようにするには中2日ほど革靴を「休める」習慣をつけよう。こうすると革靴が1日に吸った水分がほぼ蒸発する。

革靴を連投させるのは、革靴の寿命を大きく縮めるだけでなく水虫などの原因になる。控えることを強くおすすめする。

 

乳化性クリームを塗りすぎる

これはお手入れに凝る人がやってしまいがちなパターンだ。乳化性クリームとは、↑のようなクリームのこと。革に水分を補給し、柔らかくすることを目的としたものだ。

さきほど「革靴はなるべく水分を含まないほうがいい」と言った。しかし厳密には、革をいい状態に保つためには適量の水分が必要だ。かといって塗りすぎるのもNGで、過度に水分が補給された結果、伸びやすくなったり型崩れを起こす。

もし革靴のお手入れに興味を持ち、自分でもやってみたいと考えるのであれば、油性クリームから始めてみよう。新品で買った靴であればあまり神経質に保湿をする必要はない。油分補給を月1で行えば十分だ。

伸びてしまった靴は、サイズ調整をすると履ける

では、すでに伸びてしまった革靴は諦めるしかないのか。実はそんなことはない。サイズ調整を行うことで、大きくなってしまった革靴を小さくすることができるのだ。

革を縮めることは不可能

しかし、ここでいう「サイズ調整」は革自体を縮ませることではない。というのも、素材を縮ませるという加工は本質的に不可能だからだ。

ドライヤーは特にNG

他のサイトでドライヤーで革靴を縮ませた」という記述をよく見かけるが、これは絶対にやってはいけない

たしかに革は熱を加えれば縮ませること自体はできる。原理としては、加熱によって革を構成するタンパク質を変質させることで、革を縮めるというものだ。ただし熱を加えすぎると、革は硬化して柔軟性を失ってしまう。

革靴にドライヤーを当てて加熱すると、型くずれを起こして履きにくくなったり、硬化した革が靴として使用したときの負担に耐えられずに割れてしまう可能性もある。歩行中に発生すると歩くことすらままならなくなるだろう。

インソールの選び方

革自体を縮ませられないとなれば、最適なサイズ調整はなんだろうか。それは、「中敷きを入れる」ことだ。中敷きの厚みによって足の入る部分の面積を意図的に狭くするのだ。

インソールを選択する場合は「厚み」に気をつけるべきだ。どの程度サイズを調整するかは、インソールの厚みを変えることで調整する。

場合によっては薄めのインソールを2枚引くこともあるだろうが、基本的には1枚のインソールで対応することを考えたほうがいい。なぜなら、2枚使用すると履き心地に影響が出やすいからだ。また、あまりに薄いインソールにも注意が必要だ。脱ぎ履きのときにインソールが外れたりずれやすくなる。もしサイズの調整幅がわずかで薄いものを使用したい場合、修理店に行って接着してもらうのがいいだろう。

インソールの素材については、革靴の場合であれば革製をおすすめする。革は吸湿性に優れているため、履いたときに蒸れずに済む。

メッシュは通気性の良さそうな見た目をしているため選んでしまいがちだが、おすすめしない。化学繊維に吸湿性はなく、靴内部は高温多湿のままに保たれてしまうからだ。

0.5cmほどゆるい場合

0.5cm程度なら、薄いもので十分だ。牛革製のものでもいいが、羊革製のほうが柔軟性・軽量という点で優れているのでおすすめ。足当たりや履き心地も自然に使える。

1cmほどゆるい場合

この場合は、厚みのあるタイプを選ぼう。選び方としては、裏側に芯が入っているものがおすすめだ。インソールに芯が入っていると、履き心地に安定感が生まれて歩きやすくなる。

1cmも大きな靴を履いてしまうと、足自体の形(アーチ)が崩れるなどの不調が起きている場合も少なくない。そんな足を矯正する意味でも、芯が入ったタイプを強くおすすめしたい。

スニーカーの場合は、ニューバランスのものもおすすめ。こちらは布の表皮だが、スレに強いためいくら履いても傷まない。

短靴の場合は、インソールの厚みに注意

ただし1cm以上大きな靴の場合、靴自体の買い替えを余儀なくされるケースも多い。

というのも、厚みのあるインソールを入れた結果かかとが浅くなる。そうするとかかとのホールド力が弱まり、すっぽ抜けて歩きづらくなるからだ。

ブーツであれば全く問題はないが、ふつうの短靴であれば買い替えをおすすめする。

●不要になった靴を手放すには・・・

↓【箱に詰めて送るだけ】靴も得意な買取店。

REGALなどの革靴を売ると買取金額3000円ごとに1000円プレゼント↓


関連記事

TOP