革靴は「疲れる」から「嫌い」→それは選び方で解決できるかもしれない。

英国製「チャーチ」の靴

「革靴なんて歩きにくくて疲れるし嫌い。」

「スニーカーで十分じゃん。なんでわざわざ硬くて疲れる靴を履くのかわからない。」

「革靴」と聞いて、あなたはきっとこのように答えるだろう。

その気持ち、とてもよくわかります。

私も高校時代のローファーが痛くて、かかとがすっぽ抜けながら我慢して履いていた記憶がある。

ただ、こう考えることはできないだろうか。

「もし、疲れない革靴があるのだとしたら?」

実際、私はカジュアルな服装の職場であるにも関わらず、現在でも革の靴を履いて出勤することが多い。

それでいて、「疲れる」とか「歩きにくい」とか感じることは一切ない。

もちろんスニーカーで出勤することもある。しかしここで申し上げたいのは、

革靴は決して「疲れる」「歩きにくい」ものだけではないということ。

今回は私なりの「嫌い」にならない革靴の選び方をご紹介したいと思う。

なぜ、革靴は「疲れる」のか

とはいえ、あなたが「革靴は疲れる」と思っていらっしゃるのも事実。まずは「なぜ、革靴は疲れるのか」を明確にする必要があるだろう。

原因① サイズが合っていない

おそらく、一番多いのがこの原因。そして、あなたが「革靴は疲れる」と思ってしまう原因の少なくとも80%は、サイズを間違えてしまっていることによるものだ。

「そんなことねえよ!俺のサイズは27cmなんだ!!」

そう思われる方もいらっしゃるかもしれないが、最後までお聞き願いたい。

じつは、革靴のサイズとスニーカーのサイズは違う。

つまり、同じ27cmでも、革靴とスニーカーでは全くサイズが異なるのである。

結論から言うと、同じサイズでも「革靴のほうがスニーカーよりも大きくできている」。

なぜそうなっているのか?という説明は長くなってしまうのでここでは言及しないが、簡単に言うと革靴にはつま先の前部に「捨て寸」と呼ばれる「足の入らない空間」を確保する必要があるからである。

少なくともここでわかるのは、「大多数の人が最適なサイズよりも大きい革靴を履いている」ということである。

では、サイズが大きい革靴を履くとどうなるのだろうか。

フィットしていない革靴を履くと、歩行時に靴の中で足が「遊ぶ」、つまり固定されない状態となる。

しかし、この状態では満足に地面をつかむことができない。

そこで、足を靴の中で固定するために、無意識のうちに足自身が「踏ん張る」のである。

「踏ん張る」=筋肉を使う、ということなので、結果的に「疲れて」しまうのである。

原因② 靴の製法の問題

ほとんどの場合、①を解決すれば「歩きにくい」「疲れる」問題は解決できる。

ただし、靴自体に問題がある場合も少なくない。

あなたは今、どのような革靴を履いているだろうか。

ド○キで買った5000円の革靴だろうか?それとも、近所のスーツ屋で買った15000円の靴だろうか。

正直に申し上げて、このいずれもおすすめできない。というのも、これらの靴は

  • 簡素な製法であり、履き心地が悪い
  • ケミカルな素材が使われる傾向にあり、蒸れやすい

ことが多いからである。

まず製法についてであるが、多くの靴の場合「セメンテッド製法」である場合が多い。

もちろん、この製法で作られた靴のすべてが悪い、と言いたいわけではない。現に、スニーカーは高価格帯のものでもセメンテッド製法である場合が多いが、履き心地は決して悪いものではない。

しかし、革靴に関してはセメンテッド製法のものはあまりおすすめできない。一部良質なものもあるが、基本的には粗悪品(というと語弊があるが)と考えてもよいだろう。元来、革靴はぜいたく品であった。それを安く作ろうとすると、どうしても無理が出てくるものである。

革靴は「疲れる」を克服する方法

サイズの合った革靴を履く

「スニーカーより革靴のほうが大きくできている」こと、すなわち「多くの人がサイズの大きすぎる革靴を履いている」ということは先に述べた通り。

ここで皆さんが気になるのは、

「ではスニーカー基準で何センチ小さい革靴を選べばいいの?」ということだろう。

しかし残念ながら明確な基準をお伝えすることはできない。靴のフィッティングには足の長さだけではなく、

  • 靴メーカー・モデルによるサイズのばらつき
  • 足の幅

など、非常に様々な要素が絡んでくるからである。「革靴は1cm小さいものを」なんて言う者もいるが、それもあくまで目安に過ぎない。現に私の足は縦の長さの割に幅がかなり狭く、

  • スニーカー→28cm
  • 革靴→25.5〜26cm

という驚異の2cmズレの持ち主である。

あなたの革靴サイズを見極めるためには、一度↓のような専門店に足を運び、専門のフィッターさんに測ってもらうことをおすすめする。

↓靴の専門店・「リーガルシューズ」↓

https://base.regal.co.jp/shop/regal-shoes/list/

「グッドイヤーウェルト製法」の靴を買う

日本製「リーガル」の靴

日本製「リーガル」の靴。グッドイヤーウェルト製法。写真の靴は少しカジュアル目だが、フォーマル向きのものも展開している。

「セメンテッド製法」の革靴の多くが履き心地において不利である、ということはわかった。

では、どんな靴がよいのだろうか?

私がお勧めしたいのは、「グッドイヤーウェルト製法」という製法で作られた靴。国産では「リーガル」や「スコッチグレイン」といったメーカーが得意とする製法だ。これは手のかかる製法で、なおかつ素材もよいもの(基本的に吸湿性のある革素材)が使われる傾向にある。

気になるお値段は3万円以上を見ておけばよいだろう。

繰り返すようだが、もちろんセメンテッド製法でも素晴らしい革靴はたくさんある。ただしそれらの靴は得てしてグッドイヤーウェルト製法の革靴と同等の値段がしてしまうものだが。。

グッドイヤーウェルト製法とは?

甲革や裏革等、甲の部品を縫い合わせて出来上がった「アッパー」と、「底」をジョイントする方法に最大の特徴があります。中底につけられた 「リブ」と「アッパー」をすくい縫いした後、「中物」と「シャンク(靴の背骨となる芯材)」を詰めてから、「表底」と「細革」を出し縫いします。
他の製法にはない「リブ」と「細革」が、この製法ならではの履き心地の良さの秘密です。また、中物をタップリと入れられるために、長時間歩いても疲れにくいという長所があります。
履きはじめは堅い印象ですが、履いているうちに足裏の形をなぞるように中物が変形し、フィット感が高まります。
さらに修理が可能であることも見逃せない特徴です。

出典:リーガルコーポレーション

https://www.regal.co.jp/kutsu/material

要は、クッション材であるコルク素材をたっぷりと詰めた、とても履き心地の良い靴、と思っていただければよい。

また、グッドイヤーウェルト製法の靴は適度に重量があることもポイント。

「えっ、靴は軽いほうがいいじゃないか」と思うかもしれない。

しかし実はその逆であると言ったら驚くだろうか。適度な靴の重量があれば歩行時に振り子動作が生まれ、足を蹴りだす際に力を使わずに済むのだ。逆に言えば、軽すぎる靴は歩行のすべての動作を筋肉の力で行うため、逆に疲れやすいのである。

また、セメンテッド製法の低価格帯の靴とは違い、吸湿性のある革素材が内装にも使われることが多いため、蒸れやすさも非常に低い。実際、私の靴は1日中履いていても全く蒸れないため、オフィスで靴を脱ぐ、ということは今まで1度もしたことがない。

まとめ

「革靴は疲れる」という問題を解決するためには、

  1. サイズの合った靴を履くこと
  2. グッドイヤーウェルト製法の靴を履くこと

で解決できる。

1はすべての靴選びの基本であり、最優先に見直すべき問題だ。たとえ廉価な靴しか買えない、という場合でも、スニーカーよりも小さいサイズで選ぶことが肝心だ。具体的な数値は、自ら履いてみて決めるほかない。

2に関しては靴に少し多くの予算を使える方に試してもらいたい。グッドイヤーウェルト製法の靴を買うことで、今までの革靴のイメージが一変するはずだ。おすすめは国産ブランド「リーガル」の3万円以上のライン。慣れないうちはネットで買うよりも実店舗でフィッターに相談してサイズを決めることが肝要だ。

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