グッドイヤーウェルト製法の靴が馴染むまでの期間はどれくらい?

「履くほど馴染む」とは言うけれど・・・

グッドイヤーウェルト製法の革靴はよく「馴染むから小さいサイズで」なんて言われる。

「そう言われて小さめのサイズを買ってみたはいいものの、本当に馴染むのだろうか・・・」

そう思う方も多いのではないだろうか。グッドイヤー製法の靴を何足か履いてきた筆者が、素朴な疑問にお答えしよう。

結論:最短3ヶ月は見ておく

他のサイトでは「半月〜1ヶ月でいい」と言われているようである。

しかし、筆者はこれでは短いと思う。当然、履く頻度や体重によっても左右されるだろうが、週2〜3で使っても3ヶ月ぐらいはかかるだろう。

半月〜1ヶ月という期間は、最初はびくともしなかった靴底が、ようやく違和感なく曲がるようになってくるぐらいではないだろうか。

これも「馴染む」ということに変わりはないが、「馴染みきった」というには全く不十分だ。

グッドイヤーウェルト製法の靴が「馴染む」とはどういうことなのか?

では、どのような状態が「馴染みきった」という状態なのだろうか。

筆者の考えでは、

  1. 柔らかくなること
  2. サイズが変動しなくなること

の2つである。

半月〜1ヶ月の期間では、1はある程度進むかもしれないが、筆者の経験上2の状態になるには全く足りないのだ。

この2つについて、靴の構造の話も交えて詳しく見ていこう。

靴が柔らかくなること

革という素材は繊維が絡まってできている。

革靴として使うことによって屈曲などの運動が加わり、繊維の絡み方に柔軟性が生まれる。

結果、柔らかく履きやすい靴になる。

週に2〜3回の使用であれば、1ヶ月もあれば実感できるだろう。

サイズが変動しなくなる

この状態になって初めて「靴が馴染んだ」ということができる。

グッドイヤーウェルト製法の革靴を買った方なら、おそらくサイズは小さめにしたのではないだろうか。

なぜなら、この製法の靴は馴染むとサイズが大きくなるからである。

グッドイヤーウェルト製法の革靴は、足に触れる「インソール」の下に、クッション材として練コルクが敷き詰められている。

これらは使うごとにゆっくりと、あなたの足の形に沿って沈み、変形していく。

この「沈み」こそがサイズの変動の正体だ。これ以上沈まない、という状態になったときが「馴染みきった」段階である。

では、それまでにどれくらいかかるか?というと、週に2〜3回の使用で3ヶ月ぐらい。あくまで目安ではあるが、少なくとも半月〜1ヶ月では難しい。

ここまで読んで、「3ヶ月も待ってられない」と思ったかもしれない。

では、馴染ませる期間を短くする方法はあるのだろうか。

お手入れをしながら普通に履くのが唯一の方法

残念だが、インソールの沈み込みを加速させる方法はない。

革を柔らかくするのであれば、ミンクオイルや微量のオリーブオイルを塗り込むことである程度は可能だ。

しかし、それらの方法は一歩間違うと靴をカビさせてしまう。

靴の内部の場合は特に乾きづらいし、おまけに油脂ときているため難易度は格段に上がる。

では、毎日履けば馴染むスピードは上がるのか?

これもおすすめしない。革靴は毎日使うと劣化のスピードが格段に上がる。

大事なことは、アッパーのお手入れを継続しながら、週2〜3で使っていくことである。

しかし、靴が硬すぎて我慢できない場合もあるだろう。そういうときはどうすればいいのだろうか。

痛くて履けない・・というときは

同じグッドイヤーウェルト製法の靴でも作りが硬かったり、部分的に足との相性が良くない場合もある。

その場合、ストレスなく馴染ませる方法がいくつかあるのでご紹介しよう。

踵が痛くて靴ずれする場合

解決策は、靴の内部に固形石鹸を塗ることである

水などは使わず、石鹸をそのまま踵のライニング(カウンターライニングという)に塗るのだ。

こうすることで踵と革靴の摩擦を減らすことができ、靴ずれを予防することができる。

踵の造形は靴によって違う場合も多い。

ここがあっていない場合やおろしたてで硬い場合、靴が踵に噛み付いたり擦れたりする。

そのため、踵の皮膚が裂けてしまうこともあり、筆者も経験がある。

小指から流血する場合

この場合も、摩擦によって皮膚を傷めてしまうことによるものだ。サイズ選びや靴との相性も絡んでくるため、少し詳しく解説する必要がある。

まずサイズ選びに問題がない場合。

何度か履いても小指の爪部分が変形しない場合は、そのまま使用して問題ない。

使っていれば馴染むため、先ほど解説したように石鹸や絆創膏を使用して靴ずれ対策をすればよいだろう。

しかし、靴の縦の長さと足があっていない場合もある。

グッドイヤーウェルト製法の靴はサイズを下げて買うことも多いため、足幅はあっていても長さが足りなくなることがある。

その場合は靴が小指の爪を削ってしまう。爪の面積が小さくなったり、なくなってしまうのだ。

こうなったら使用の中止を検討してもいいだろう。

筆者の場合、足にあった靴に切り替えたところ、小指の爪はまた復活したので安心してほしい。

靴は専門店でストレッチャーをかけて革を伸ばしてもらい、再度チャレンジをするのもいいだろう。

まとめ

グッドイヤーウェルト製法の革靴は完全に馴染むまでに3ヶ月はかかる

半月〜1ヶ月で靴底にクセが付き、アッパーの革も馴染みはじめて自然な動きになってくる。

そこから、インソールが沈んでサイズの変動がなくなるまでに3ヶ月ほどかかる。

それまで間はいわゆる「修行期間」となる場合もあるだろう。

しかし、いくら修行と言っても無理をしてまで慣らす必要はない。そのため、苦痛を軽減する方法も紹介した。

グッドイヤーウェルト製法はサイズ選びも難しいが、一度馴染むととても履きやすい靴になる

あなたもぜひ、快適な本格革靴ライフを手にしてみてはいかがだろうか。

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