あなたの靴の製法はなんだろうか?
グッドイヤーウェルトだろうか、それともマッケイだろうか。
おそらく、ここに来ているあなたは「セミマッケイ」と答えるのではないだろうか。
では、「セミマッケイ」とはどんな製法だろうか?「セミ」とついているのだからマッケイ製法の簡易バージョンだろうか?
今回は、そんな「セミマッケイ製法」の謎に迫ってみたい。
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目次
セミマッケイ製法ってなに?>
マッケイ+セメント製法で仕立てた靴
セミマッケイ製法とは、ヒール部分以外(つまり、ソールの露出している部分)をマッケイ製法、ヒール部分をセメント製法で仕立てた靴のことである。
マッケイ製法とセメント製法の違いは靴の上部(革の部分)とソール(靴底)の接合方法である。マッケイは縫って接合し、セメントは接着剤で接合する。
一般的には前者のほうが高級な製法とされていて、「セミマッケイ」はそのハイブリッドということになる。
上記の写真を見てほしい。底縫いがヒールの直前で途切れていることがおわかりいただけるだろうか。この靴は、縫いがかかっていない部分はセメントで仕立てられている。つまり、セミマッケイ製法の靴ということができる。
リーガルの中価格帯の靴に多い
ところで、「セミマッケイ製法」という名前で売られている靴は国産の「リーガル」の中価格帯(2万円台)が大多数を占める。
しかし、ヒール部分のみセメント製法で底付けを行うマッケイ製法の靴は、市場にはごまんとあるのだ。そしてそれらの多くは「マッケイ製法」という売り文句で流通している。
つまり市場のメインストリームは、たとえヒール部分の底付けがセメント製法であっても「マッケイ製法」と呼ぶことである。
したがって、セミマッケイ製法の靴は、マッケイ製法で作られたリーガルの靴のうち一部モデル、と解することができるのだ。
ビジネス用途でセミマッケイ製法の靴を選ぶなら、リーガルの「811R」がおすすめだ。フォルムも癖がなく、デザインもストレートチップなので「模範解答」と言えるだろう。
修理はできるのか
基本的にマッケイ製法と同じと考えていい
マッケイと同じということがわかったら、修理もマッケイと同じと考えればいい。
セミマッケイ製法の靴は、当然ながら修理することができる。
一番メジャーな修理を下記に記しておくのでご参考までに。
ヒール交換
ヒール交換は製法のいかんを問わずできる修理の1つ。
トップリフトだけなら、専門店で3000〜4500円で交換することができる。
ヒールブロックまで削れてしまっている場合、6000円は覚悟しておこう。
ただ、この価格帯であればトップリフトとヒールブロックが一体化した「ブロックヒール」がついていることも多い。この場合は、ヒールブロック交換よりも安くなることもある。
ヒールはすり減ったら必ず交換しておこう。
削れすぎたヒールのまま使っていると靴自体が歪んでしまうし、歩行姿勢にも無理が出てきてしまう。結果、健康を害する可能性も出てきてしまうので、ぜひ修理をしてほしい。
オールソール
セミマッケイ製法はオールソールもすることができる。靴底をまるごと張り替えることができるのだ。
お値段は1万円〜ほど。使用する底材によっても変動する。
レンデンバッハなどブランドのレザーソールの場合は、2万円近くかかることもしばしばだ。
雨の日にも使えるのか
同じセミマッケイ式でも、仕様によっては使える
よく、「マッケイ製法の靴は雨の日に使えない」という意見を聞くことがある。
しかし、それは半分間違っている。同じマッケイ式でも、ソールの付け方や素材によって雨の日に使用できるかは異なってくるのだ。
下記の条件を満たしたマッケイ製法、あるいはセミマッケイ製法の靴は、雨の日にも使えるだろう。
雨に強い素材のアッパーが使われている
靴は大まかに「アッパー」と「ソール」の2つの部品から成り立っている。雨に使える靴とは、この両者が「雨に強い」事が必要だ。
「セミマッケイ」「グッドイヤー」といった靴の製法の話は底付け、つまりはソールに関する話である。
そのため、アッパーとはあまり関係がない。しかし雨に使えるか?ということを考える場合の第一条件として、やはりアッパーの話は避けては通れない。
第一の条件として、「アッパー」の部分にガラスレザーやスエード、オイルレザーが使われていれば、雨の日にも強い仕様と言えるだろう。
しかし、普通の革でも、適切なお手入れをすれば雨の日に履いても差し支えない。
ここでいうお手入れとは、
- まずは乾かすこと
- 革が少し湿った、柔軟性がある状態の時に「デリケートクリーム」を塗る
- 完全に乾ききったところで、油性クリームを塗る
以上の3点である。下記の記事が詳しいので、参考にしてほしい。
底に縫い目がない&アウトソールがラバー製のもの
マッケイ系の製法の場合、最も雨の侵入する部分は靴底である。
靴底に縫い目が露出しているため、底縫いの糸を伝って水が侵入し、中底をビショビショにしてしまう。
雨に強いマッケイの条件はずばり、ダブルソールの仕様であること。こうすることで、底のの縫い目からの水の侵入を防ぐことができる。
具体的な方法としては、アッパーと直接接するソール(ミッドソール)の下に、もう一枚ソール(アウトソール)を接着するのである。
こうすることで雨に弱いマッケイ製法の靴が、たちまち雨に強い仕様に変身する。
ちなみに、この仕様は先述の「オールソール交換」によって手に入れることが可能。手持ちのセミマッケイ製法の靴を雨の日仕様にカスタムできるのだ。
セミマッケイ、あるいはマッケイとは、非常に柔軟な使い方ができるのである。
おすすめのセミマッケイ式革靴はこれ
ビジネスで使う前提なら、筆者のおすすめは「ベーシックな形のもの」だ。
ベーシックな靴のいいところは
・合わせるスーツを選ばない
・どの年齢層にも受けがいい(ビジネスパートナーから信頼される)
ということ。
つまり、
・ロングノーズなど、特徴的な形をしていない
・妙に凝ったデザインになっていない
のがポイントだ。尖った靴は細身のスーツにしか合わなかったり、相手によっては不快な印象を与えてしまう可能性がある。
残念ながらリーガルといえど「妙なデザインの靴」も多数ある。これはセミマッケイ製法で作られた靴も例外ではない。
こうしたモデルは避け、ベーシックなモデルを選ぼう。特に下記の靴たちは数年にわたって発売されているモデルなので、数多くのビジネスマンに選ばれ続ける普遍性がある。
ビジネス〜フォーマルまで使えるストレートチップ「811R」
ビジネス用で最もベーシックな革靴は、
・色が黒いもの
・「ストレートチップ」というデザインのもの
だ。ストレートチップとはつま先に一文字の切り返しが入ったデザインで、冠婚葬祭にも「模範解答」として通用する。
それに加え、この811Rは程よく丸いベーシックな造形をしている。ビジネス用という前提なら「これ一択」と言ってもいいだろう。
甲高でも安心!ビジネスの強い味方「810R」
前掲の811Rは模範解答だが、足の甲が高い人にはこちらのモデルもおすすめだ。
この810Rは「外羽根式」というディテールを備えており、靴紐で甲の締め付けを自在に調整できる。
模範解答ではないにしても、フォーマルユースにもなんとか合わせられるデザインだ。ストレートチップの811Rを一度履いてみて、どうしても「甲がきつい」「疲れる」ようなら810Rを選んでもいいだろう。
粋と華やかさを出すなら「122R」
この靴は少し発展的な靴だ。ベーシックなストレートチップをすでに持っていて、買い足したい場合に検討してもいいだろう。
まず目を引くのが切り返し部分に施された「パーフォレーション」という穴飾り。ストライプのスーツと相性がよく、コーディネート全体に調和が生まれる。逆に無地のスーツならストレートチップのほうがいいだろう。
もうひとつが「スクエアトゥ」という四角めのつま先だ。これはイタリアの靴に多い造形で、勇壮な雰囲気を醸し出す。茶色を選べばジャケパンスタイルにも相性がいいだろう。
カジュアルでも使えるチャッカブーツ「18UR」
最後に紹介するおすすめ靴は変化球だ。セミマッケイ製法のブーツも使い勝手がいい。
ただしスーツには合わせづらいので、ジャケパンスタイル〜カジュアルスタイルに使う前提で読んでほしい。
チャッカブーツはブーツの中でも最もドレスライク、つまり「かっちりした」部類に入る。つまり「お出かけ」シーンに最適な靴ということができるだろう。もちろん黒のモデルでもいいのだが、茶色を選ぶと着こなしの幅が広がる。
カジュアルに使うならスエードがおすすめ
このチャッカブーツは茶色・ネイビー・ダークグリーンのスエードが用意されている。これなら休日にもおすすめだ。休日に履く革靴として、スエードのブーツは相性がいい。
休日に使う革靴の選び方は以下の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてほしい。
セミマッケイ式は、カスタム次第で様々な使い方ができる柔軟な製法
では、セミマッケイ製法の靴は雨の日仕様以外にどのような使い方ができるのか、詳しく見ていこう。
レザーソールで究極の屈曲性を持った靴に

出典:リーガル
靴底をレザーのシングルソール(つまり、縫い目の露出した一枚底)仕様にすれば、高い屈曲性を手に入れることができる。また、重量も最も軽く済ませることができる。
もし「革靴が硬い、重い」と思うのであれば、一度試してみてもいいかもしれない。ただし、レザーソールは摩耗スピードが早いため、特にマッケイ製法系の靴は寿命を縮めてしまう可能性がある。
そのため、あまり酷使しないおしゃれ用途の革靴にするといいだろう。
スポンジソールでコンフォートシューズに
これは雨の日仕様に近い。まずはミッドソールを入れて二枚底のダブルソール仕様にする、ここまでは一緒だ。
コンフォート仕様の秘密は、アウトソールにある。
「スポンジソール」よばれるクッション性の高いソールを、アウトソールに選択してみよう。
スポンジソールは、例えるなら低反発まくらのような質感を持つソールで、柔軟性と衝撃吸収性に優れている。
そのため、柔軟なマッケイ製法と組み合わせれば、まるでコンフォートシューズやスニーカーに近い履き心地を得ることができるのである。
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