おそらくはお気に入りの革靴。
ふと手にとって、あるいは履いている最中に足元を見てみると・・・
革にヒビが入っている!
「捨てるしかないか・・・」
「もう寿命かな・・・」
なんて考えていないだろうか。
今回は革靴のひび割れについて、捨てる以外の方法はないのか考えてみよう。
目次
革靴がひび割れてもムリに捨てる必要はない
上の写真は筆者の革靴であるが、この靴を捨てる予定はない。
革靴は、適切なお手入れをすればたとえひび割れていても使えるからである。
このまま使い続けた結果、ひび割れが広がり靴が真っ二つになって歩行不能に・・なんてことは起こらない。
靴としての機能はきちんと果たしてくれるので心配しないでほしい。
革靴がひび割れても、そのまま履いていい
ひび割れも「エイジング」の1つとして捉えることはできないだろうか。
安い靴ならまだしも、購入時に3万や5万円以上の革靴には、比較的上質な素材が使われているものだ。
こうした靴は使うごとに足に馴染み、風合いを増していくもの。
ひび割れもそのうちの1つだと言っているのだ。
実際、ビンテージシューズの世界ではひび割れも味わいの1つという考え方が浸透している。
修理する方法もある
革靴のひび割れは修理する方法もある。
できればそのまま履いてほしいのだが、「ひび割れはどうしても許せない!」という方におすすめしたい。
大きくは2つで、パテ埋めとチャールズパッチという方法だ。
パテ埋め
革の表面部分(銀面)を削り、靴と同色の専用パテで埋める方法だ。
割れてしまった銀面を部分的に除去し、人工的な銀面を取り付けるという考え方である。
しかし、結局は別の部分がひび割れるなどしていたちごっこになる可能性がある。
中期的応急処置と考えておいたほうがいいだろう。
また、自分でやるのはおすすめしない。
不必要に革を削りすぎて穴を開けてしまったり、予期せぬ部分を削って靴を傷めてしまうことも多い。
またパテも扱いが難しく、仕上がりが凸凹になりやすい。
プロにお願いするのが賢明だ。
チャールズパッチ
ひび割れた部分に革のパッチを縫い付け、ツギハギをする。
イギリスのチャールズ皇太子がこの方法で50年以上同じ靴を愛用していることから、こうした名前がついている。
もし修理するのであれば、パテ埋めよりチャールズパッチのほうがおすすめだ。
筆者の経験上、素材に対する加工はどうしてもトラブルになりやすい。
チャールズパッチは革を当てるだけの自然な方法なので、トラブルの可能性も低いだろう。
革靴がひび割れる理由と予防法
革靴のひび割れは履いていればいつかは訪れる。
いかに完璧な手入れを行っていたとしても、防げないものだ。
そのため、いかに「ひび割れを遅らせるか?」という考え方で靴と向き合っていく必要がある。
これを念頭においた上で、ひび割れの原因と「遅らせる」方法について解説していこう。
油分・栄養分・水分の不足
お手入れをしない、もしくは頻度が少ない状態で履き続けると、ひび割れは早くに訪れる。
ひび割れ防止の場合、とくに「水分」の補給を重点的にやっておくといいだろう。
冒頭で挙げた筆者の靴は、水分が少なくなってくるとひび割れがかなり目立つ傾向にある。
水分を補給するには「デリケートクリーム」を使うといい。
↓の商品は筆者も使っているが、性能が十分で内容量も多く、コスパがいい。
汚れと古い油分をまず落とし、デリケートクリームをしっかりと塗り込む。
デリケートクリーム1つで水分と栄養分は十分に補給することができる。
その後に油分をしっかりと補給しよう。
目安としては月1でお手入れを行うといいだろう。
水分・栄養分と油分が十分に含まれた状態は、言い換えると革のHPが高い状態だ。
絶えず革が丈夫な状態で使用することで、ひび割れまでの時間をかせぐことができる。
具体的なお手入れ方法は下記の記事で詳しく紹介しているので、参考にしてほしい。
汚れが溜まっていること
汚れとは汗や皮脂のこと。
足は1日にコップ1杯分の汗を排出する。
当然、靴は汗や皮脂を吸収する。
また、汗に含まれるアンモニアは革を硬化させる作用がある。
革が硬化すると屈曲に対して弱くなるため、ひび割れは起こりやすくなる。
靴のひび割れを遅らせるためには、定期的に汚れを取り除くことが必要だ。
1年に1度は丸洗いをして、汗や皮脂を落としてみよう。
革は水に弱いと言われているが、これは半分間違っている。
適切な洗い方をすれば靴に負担をかけずに綺麗にすることができるのだ。
丸洗いは靴修理店に任せてもいいし、自分で行うこともできるのでぜひやってみてほしい。
必ずしも「ひび割れ=捨てる」ではない
革靴はひび割れたとしても、使うことができる。
むしろ3万円以上の「グッドイヤーウェルト製法」や「マッケイ製法」を使用した高価な革靴たちは履くごとに味わいを増していくもの。
たとえ「ひび割れ」であってもこれは変わらない。
お手入れと修理を繰り返しながら長年に渡り使用され、ところどころひび割れの入った靴は持ち主の風格とも相まって味わいを深めているものだ。
もし「ひび割れた靴はどうしても許せない」というのであれば、チャールズパッチによる補修を試してみよう。
ツギハギは貧乏くさいと思うかもしれないが、きちんとお手入れされ、光沢を蓄えていれば「ボロい」という印象は与えないものだ。
むしろ、話のネタにもなるかもしれない。
「この靴、新品から25年履いているんです」
このような会話も決して悪くはないものだろう。
高価な靴であればあるほど、こうして付き合っていく価値はあるというものだ。