リウェルトとは?料金の相場も解説

靴の修理のひとつであるリウェルト。

「どのくらい料金がかかるのだろうか?」

「リウェルトって何回までできるか知りたい」

「そもそもリウェルトとは?」

こう思うのも無理はないだろう。

実はマイナーな修理メニューのため、あまり知られていないのが実態だ。

今回は革靴マニア歴7年、数多くの靴修理を体験してきた筆者が、リウェルトについて細かく解説しよう。

実際にリウェルトは手間と金額が大きくかかってくるし、何回もできる修理ではないお気に入りの靴でなければおすすめできないメニューだ。

この記事を読み終える頃には

・リウェルトって何?

・どれくらいのお金がかかるの?

・何回までできるの?

が明確に理解できる。それではいってみよう。

リウェルトとは?

リウェルトとはウェルトを交換する修理のことだ。主に3万円以上の価格帯に多い「グッドイヤーウェルト製法」という方法で仕立てられた革靴に対して行われる。国産で言えばリーガルやスコッチグレインなどの靴が対象だ。

そもそも「ウェルト」って何?

ウェルトとは「アッパー」と「ソール(靴底)」をつなぐ部品のことで、紐状の革が使われる。

革靴は大まかにアッパーとソールの2部品で成り立っているが、グッドイヤーウェルト製法ではこれらを「ウェルト」という部品を介し、縫合することでつなげている。

グッドイヤーウェルト製法の利点は「ソールを何回も張替え、長く使える」ことだが、その秘訣がこのウェルトに秘められている。

ソール交換は靴に負担のかかる修理だ。アッパーとソールを直に縫い付けると、張替えを行うとアッパーに新しく縫い穴を開けることになるからだ。すり減ったソールは廃棄するからいいとしても、アッパーは交換ができない。

ウェルトは紐状の革で、アッパーの外周をぐるっと囲うように縫い付けられている。

そこでウェルトを介して接合することで、本来アッパーが受けるべきダメージをウェルトに負担させる。アッパーに新しく縫い穴を開けずに済むというわけだ。

しかしソールの張替えを繰り返すとウェルトは当然だめになってくる。あるいはソールの摩耗を放置し、ウェルトが擦り切れるとそのウェルトは使い物にならなくなる。そこではじめてリウェルトを行うことになるのだ。

リウェルトを行うとアッパーにも負担がかかる。ソールと同じように、アッパーとウェルトも縫い付けられているからだ。

料金は1万円が相場

ただし、これは「リウェルト単体」での話だ。実際は1万円では済まない

グッドイヤーウェルト製法の構造上、ウェルトを外す際はソールを剥がさなければならないからだ。

リウェルトは「ソール交換」とセット

リウェルトをする際には、最低でもリウェルト代+ソール交換代がかかってくる

ソール交換は使用する底材にもよるが、だいたい1.5万〜2万円程度だろう。ダブルソールなどにする場合はさらに数千円プラスになる。

そう考えると、リウェルトを伴う修理は合計で2.5〜3万円以上となってくる。これを安いと見るか高いと見るかはお任せするが、修理する側から見ると膨大な工数になる。業界では「靴修理は儲からない」と言われるが、グッドイヤーウェルト製法はそれだけ複雑な構造だということをご理解いただきたい。

回数は2〜3回と言われている

いくら頑丈なグッドイヤーウェルト製法でも、リウェルトを繰り返すと縫い目からアッパーの革が裂けてくる。そうなると寿命だ。

一般的に底縫いの穴を開ける修理は2〜3回が限度と言われている。アッパーとソールを直に縫い付ける「マッケイ製法」のソール交換回数が2〜3回と言われるのはそのためで、ウェルトがない分寿命が短くなるのだ。

グッドイヤーウェルト製法の場合は最初の2〜3回はウェルトが負担を受けてくれるが、逆に言えば2〜3回に1回はアッパーがダメージを負うということだ。

「飾りウェルト」の場合も交換が可能

一方で、ウェルトつきのマッケイ製法の靴も存在する。マッケイ製法は構造上ウェルトが必要ないが、見た目の重厚感を出すなどの目的でダミーのウェルトをつけているのだ。

当然、こうしたウェルトも交換することができる。多くの場合接着剤でつけられているため、剥がして新しいものに交換するという工程になる。

リウェルトは大工事。お気に入りの靴にのみ行おう

リウェルトは手間とお金のかかる、非常に大掛かりな修理だ。

グッドイヤーウェルト製法の革靴は大事に扱えば10年持つと言われているが、それだけ長く使った場合でも多くて3回程度しか行えない。

靴修理は工賃の割に職人の工数が多く、利益率の低い商売だ。なおかつ、靴を1から作る以上の技術力が要求される。リウェルトともなればなおさらで、修理に出す側の出費も大きい。工賃で言えば3万円程度かかり、靴を新しく買うのと同じぐらいのお金がかかる。

リウェルトをする価値があるのは、10年単位で愛用したいと思えるような思い入れのある靴だけだ。それは決して靴を買ったときの金額ではない。たとえ数十万の高級靴であっても、いまいち愛着が薄いのであればリウェルトしてまで使う価値はない。逆に2〜3万で購入した革靴であっても、あなたにとって手放せない相棒と思えるならリウェルトの価値がある。

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