グッドイヤーウェルト製法は雨に強いのか?

「グッドイヤーウェルト製法の靴を買ったけど、雨の日に履いて大丈夫かな?」

きっとあなたも、このような心配をしているのではないだろうか。

高価格な場合も多いグッドイヤーウェルト製法なだけに、色々と悩みは尽きないものだ。

今回は数年にわたってグッドイヤーウェルト製法の靴を履いてきた筆者の視点から、「グッドイヤーウェルト製法」と「雨」について解説していこう。

グッドイヤーウェルト製法の靴は雨にも強い

もちろん、モノにもよる。雨の日に履かないほうがいい靴も存在する。

しかし、グッドイヤーウェルト製法自体は雨にも比較的強い製法であることは間違いない。

理由は「靴底とアッパー(革の部分)」が直接縫いつけられていないからである。

たとえばマッケイ製法は靴底とアッパーをダイレクトに縫い付けるため、雨の日に履くと糸を伝って水が侵入してくる。しかしグッドイヤーウェルト製法は靴底とアッパーが直接つながっていないため、水が侵入しにくい構造なのだ。

ただし、完全防水にはできない

レザーソール

とはいってもパーツを糸で縫い付ける製法には変わりない。

糸の材質は麻で、どうしても水を通してしまう。製造の段階で松ヤニを塗り込んではいるものの使用によって取れてしまう。雨の日に使うと、糸は濡れてしまうのだ。

雨で長時間使う場合は少し注意したほうがいいだろう。濡れた糸が他の部分まで水を伝え、最終的に足の入る部分まで濡らしてしまうこともありえるからだ。

雨に強いグッドイヤーウェルト製法の特徴

しかし、「足の部分まで濡らす」ことを極限まで防ぐことは可能だ。

雨に強い仕様を揃えれば、梅雨に数時間歩き回っても平気な靴に仕上げることも可能だ。

それでは、「雨に強い」グッドイヤーウェルト製法の靴の特徴を解説していこう。

ラバーソール

ダイナイトソール

ダイナイトソール

ラバーソールはマストだ。

巷では「ダイナイトソール」が人気だ。確かに見た目がスマートでドレッシーなため、使いやすいだろう。しかし、雨靴として使うのであれば不十分だと筆者は考える。

第1に、滑りやすいこと。丸い突起で地面を掴むため、路面が濡れていると接地面積が少なくなる。結果、十分な摩擦を得ることができずにツルッといってしまう。

第2に、高さを確保できないことだ。梅雨時は水たまりができたり路面が川のようになる場合もある。そこに踏み入れるとあっという間に履き口から浸水してしまうだろう。

ではどんなラバーソールがいいか。おすすめは「リッジウェイソール」あるいは「コマンドソール」だ。特に後者はかなりの高さを稼げるだろう。ただし厚みが出る分、少しカジュアルな見た目になってしまう。

コマンドソール

コマンドソール

これらのソールのいいところは、ソールのパターンが「線状」になっていることだ。点状のダイナイトソールに比べて地面を掴む力に優れているのに加え、排水性も高い。車のタイヤのような作りになっているため、ソールと地面の間に水をはさまないですむのである。

ストームウェルト

一般的なウェルト

一般的なウェルト

ストームウェルト

ストームウェルト

ウェルトの形状によっても防水性に差がつく。

通常のウェルトは平面の形状をしているのに対し、このストームウェルトはL字状の断面をしている。

ウェルトの奥側にはすくい縫いがあり、ウェルトとアッパーをつないでいる。ストームウェルトはこのすくい縫いの部分からの浸水を抑えてくれるのだ。

ただしこのディテールもややカジュアル寄りで、ゴツく存在感のある見た目となる。ソールの幅も広くなるため、コマンドソールやリッジウェイソールとも相性がいい。

雨に強いアッパー素材

ガラスレザーやオイルレザーは雨に強い傾向がある。水に濡れても靴の内部まで浸透しないからだ。スエードに防水スプレーをかけても、小雨程度なら凌ぐことができる。

中でも最強なのがガラスレザーで、土砂降りでも水を通さない。樹脂による表面加工が施されているので、染み込む余地がないからだ。

ただし、特にガラスレザーの場合は履き口から水が侵入した場合は要注意だ。革にシールドが貼り付けられているということは、内部まで水が侵入した場合に乾きにくいということでもある。乾燥に時間がかかる分、カビも生えやすくなってしまう。布団乾燥機の送風モードなどを使い、なるべく早く乾かす工夫をしてみよう。

ゴアテックスを用いたグッドイヤーウェルト製法の靴は雨に強いのか

リーガル ストレートチップ ゴアテックス 01TRCE(グッドイヤーウェルト製法)

ゴアテックスを使った革靴なら、雨の日でも足を濡らさずに済むだろう。

ゴアテックスは防水性と透湿性を両立した素材で、水を通さないものの蒸れにくいという特徴があるからだ。

ゴアテックス使用の革靴のほとんどは、この素材を内装に使っている。そして多くの場合、外側は普通の革を使用している。つまり、ゴアテックスの靴下を履いている状態と言ってもいいだろう。

革は水に濡れるとお手入れが必要なので、履いたあとの乾燥とオイルアップは必須だ。

また、革靴が浸水してしまう一番の原因は履き口だ。ブーツ形状のものを選べば、浸水のリスクは大幅に低くできるだろう。

ゴアテックスが破れると浸水する。サイズ選びは慎重に

革靴をスニーカーと同じサイズで選んでいないだろうか?だとしたら大きすぎる。ゴアテックスの靴もすぐに使い物にならなくなるだろう。

いくら丈夫な素材でも、断続的に足と擦れれば裂けてしまう。特にサイズが大きすぎる場合はあっという間に穴が開く。靴の中で足が固定されず、内装と足が強くぶつかり合うからだ。

穴が開くと防水の壁がなくなるため、雨の日に履くと浸水してしまうだろう。

適正サイズがわからない場合、靴屋で店員さんにサイズを測ってもらうことをおすすめする。

まとめ

グッドイヤーウェルト製法は雨の日にも使うことができる。

ただしグッドイヤーウェルト製法にも色々あり、雨の日に強い仕様というものがある。

高いグリップ性と耐水性を持つラバーソールは、「リッジウェイソール」「コマンドソール」がおすすめだ。

また、ウェルトの形状にもこだわってみよう。「ストームウェルト」なら水を靴の内側に伝えにくい。

靴の中で多くの面積を占めるアッパーの革素材にも注目だ。ガラスレザーなら水を弾くものの、もし浸水した場合のお手入れが肝心だ。

ゴアテックス素材を用いたモデルもあるが、これは靴の内側に使われる。サイズが合っていないと穴が開いて防水性がなくなるので、適正なサイジングをまずは身につけておきたい。

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