雨の日に革靴はだめなのか?おすすめの方法とは

雨の日に革靴を履いてはだめなのか?

革靴

「雨の日に革靴を履いてはいけない」あなたは、こんなことを思ってはいないだろうか。

「雨の日に履くと靴がだめになる」なんて巷では言われているが、本当にそうなのだろうか。

結論:雨の日に革靴は履ける

雨の日に革靴は履ける。ただし、いくつか条件があるし、雨の日に向いている革靴と向いていない革靴が存在するのも確かである。

もともと、革靴の素材となる「革」というものは動物の皮膚を原料としている。ただしそのままでは腐ってしまうので、素材にする際には「なめし」という加工を行う。この「なめし」の段階では大量の水を使用するため、「革」という素材は本来水を苦手とするはずがないのである。

なぜ、「雨の日に革靴はだめ」と言われているのか

革を良い状態で維持するためには「油分」を革の内部に保っておくことが必要である。

ところが、いったんずぶ濡れになってしまい、乾燥させるとする。この時、水分とともに油分まで抜けてしまうのだ。こうなると革は柔軟性を失い、次に使用した際には靴の屈曲する部分からひび割れてしまうことがある。

ということは、濡れた後の対策をしっかりしておけばそう簡単にだめにはならないということだ。具体的なお手入れ方法は機会を改めてお届けしたい。

それでも、仕上げや製法の違いから雨(特に土砂降りの日)には履かないほうがよい靴も存在する。では、雨の日に「向いている」革靴はどんなものなのか見ていこう。

雨の日用の革靴は、どんなものを選べばいい?

靴は大まかに「アッパー(表革)」と「ソール(靴底)」から構成されている(ほかにもあるが、説明の都合上左記のような区別としたい)。この2者のうち、「雨に強い」ものの組み合わせが、雨の日に強い革靴である。

表革編

他サイトを見ると、「スエードの靴」「オイルレザーの靴」「ラバー製の靴」「ガラスレザーの靴」が雨の日に使える、と書かれていることだろう。ここでは、この4つについて検討をしていきたい。

もちろんこれに加えて「普通の革(=銀付き革)」の靴も基本的には雨の日に使用して問題ない。特に小雨程度なら十分に使うことができるだろう。

スエードの靴

英国製チャーチ コンサル スエード

スエード靴は防水スプレーを使うことで、小雨程度なら凌ぐことができる

スエードの靴は雨の日に使える。表面がけば立っているため、水滴をはじいてくれるのである。防水スプレーを併用すれば、小雨程度なら十分に使うことができる。

ただし、難点がいくつかあると筆者は考えている。

  1. カジュアルな雰囲気なので、ビジネスには使いずらい
  2. 土砂降りの時には使えない

雨の日に革靴を使いたいと考えているあなたは多くの場合ビジネスマンだろうから、1はかなり致命的だ。TPOの問題だけでなく、一般的な梳毛のスーツには合わせづらいというコーディネートの問題も気になるところだ。

また2についても「雨の日靴」としては少々心もとない。いくら防水スプレーをかけているとはいっても、水の侵入部分を完全に防ぐことはできないし、長時間水にさらされるとどうしても水がしみてきてしまう。

上記の点を総合すると、私としてはおすすめ度35点といったところだろうか。

オイルレザーの靴

オイルレザーとは、なめしの工程で油分をたっぷりと含ませた革のことである。豊富に含まれた油分が、水をはじく機能を発揮してくれるのだ。

代表的なところではパラブーツが有名だ。

しかし、ビジネスという点で考えると、このオイルレザーの靴にも難点がある。

上記のパラブーツを見ていただけるとわかるように、このオイルレザーは登山靴など、専らカジュアルな靴に使用される素材である。ここは好みにもよるだろうが、スーツに合うデザインか、と言われると「?」である。もちろんジャケパンスタイルなのであればなんとかなるだろうが、私としてはあまり使いたくない。

ただしこの問題点が気にならないという方にはぜひ試してもらいたい選択肢である。おすすめ度は40点。

ラバー製の靴

いわゆるレインシューズと言われているものである。

この靴を履いておけば防水性は間違いなくクリアできるだろう。

また、現在では↓のような製品も発売されており、スーツスタイルでも全く違和感なく使うことも可能である。

防水 友二郎

三陽山長 防水 友二郎

難点はとにかく蒸れやすいこと。ただでさえ湿度の高い環境下で使用され、かつ高い防水性=密閉性のあるアイテムなのである。そのため、数か月使用するとたちまちにおいの問題が出てくる。またこのような環境は白癬菌が好むため、水虫のリスクが他と比べて高いことも留意しておくべきだ。

私も一時期レインブーツ使用していたことがあるが、3か月ほどで臭いの問題に直面した。また底材が柔らかいためすぐに削れてしまうし、修理もできない場合が多い。そのため、使い捨てと割り切って使う分にはいいかもしれない。

おすすめ度は35点。

ガラスレザーの靴

日本製「リーガル」の靴

ガラスレザーは革の表面に樹脂コーティングがされている。これがシールドの役割を果たしてくれる

革の表面に樹脂コーティングがされた素材である。そのため、あくまで本革扱いとなる。

個人的にはこの「ガラスレザー」が最有力候補かと考えている。グッドイヤーウェルト製法と組み合わせることで蒸れにくく、ラバー製のレインシューズほどではないものの耐水性も期待できるためである。樹脂コーティングがシールドの役割を果たし、水の侵入を防ぐのだ。

オイルレザーほど素材に厚みがないため、スーツに合わせられるようなシュッとしたデザインで作ることもできるし、実際そのような製品も発売されている。

難点があるとすると一度浸水してしまうと乾くまでに時間がかかってしまうこと。樹脂コーティングが邪魔をして水の蒸発を防いでしまう。そのため、防ぎようがない「急所」である履き口からの浸水には注意が必要だ。

おすすめ度は70点。

ソール(靴底)編

さて、これまでは表革について見てきた。続いてもう1つの要素である靴底について見ていきたい。

結論から言おう。「ラバーソール(ゴム底)」の1択だ。ただし、このラバーソールにもいくつもの種類があること、その中にも雨が得意なものとそうでないものがあることを押さえておいてほしい。

レザーソール(革底)

レザーソール

レザーソールは牛革の最も厚みのある部位(ベンズ)を用いたもの。

「革は水に弱い」と考えていたあなたなら想像に難くないだろうが、雨の日に最も向かないソールである。革は水を吸うと柔らかくなってしまう。なおかつ地面に接すると急速な勢いで削れてしまい、寿命を縮める。また凹凸がないため、簡単に滑ってしまう。

ラバーソール(ゴム底)

一口にラバーソールといっても様々な種類がある。

雨に強いソールはずばり「起伏がなるべく大きく、パターンが線状になっているもの」だ。逆に平べったかったり、点状のパターンになっているものは滑りやすい。起伏があり線状のパターンになっていれば踏面に排水効果をもたらし、線状の出っ張っている部分でしっかりと地面を掴むことができる。

靴好きの間で評判が高いのは「リッジウェイソール」「コマンドソール」「ビブラムソール」と言われるものだ。もし予算に余裕があるなら、上記のソールがついた靴を探してみるのもいいだろう。

コマンドソール

英国製「コマンドソール」

まとめ

私のオススメは「ガラスレザー」かつ「ラバーソール」の靴である。

防水性の高いガラスレザーは物理的に雨の侵入を防いでくれる、優れた素材である。靴を複数持つ余裕のある方は小雨用に他の靴も用意しておくといいかもしれない。

ラバーソールは線状のソールパターンでなるべく起伏のついたものがよい。凹凸があったほうが排水性・グリップ性が高くなるからだ。

今回は説明できなかったが、「グッドイヤーウェルト製法」と呼ばれる製法で作られた靴を選べば、蒸れにくい雨靴になり得る。内装が吸湿性のある本革で作られているため、1日中靴を脱がずに過ごすことが可能なのだ。3万円以上の価格帯になるため少し値段が張るが、雨靴といえどもお手入れをしながら長く付き合っていくことも可能だろう。

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