【いい靴を安く】中古の革靴のススメと注意点

英国製旧チャーチ

近年はメルカリやヤフオクの発達で中古の衣料品を買うことが一般的になっている。

しかし、中古の革靴となると抵抗感を覚えることも多いもの。「水虫のリスクは大丈夫なのか」など衛生面での不安を抱え、一歩を踏み出せない方も多いのではないだろうか。実際のところ、私もその1人であった。中古の服を買い漁り始めたものの、こと靴に関しては「ちょっと危ないかも」と躊躇していたのだ。

そんな筆者も今では革靴を買う際は基本的に中古品にしている。さらに、現在も水虫とは無関係の生活を送ることができているのだ。

今回は中古革靴に関するあなたのお悩みを、今まで片手では数えられないほどの中古革靴を購入してきた筆者が解決しよう。

なぜ、革靴の中古を買うのか

本題にはいる前に、あなたはなぜ中古の革靴に興味を持っているのだろうか。

いろいろあるとは思うのだが、おおまかに下記の2つがあると思う。

①安いから

一番はこれではないだろうか。1万円台以下のの靴はケミカルで簡素な作りになっているため、蒸れやすく履き心地が悪い。しかし、リーガルの3万円以上のラインやスコッチグレイン、ユニオンインペリアルのような靴は製造に手間のかかる「グッドイヤーウェルト製法」で作られており、蒸れにくく履き心地に安定感がある。

とはいえグッドイヤーウェルト製法で作られた革靴は、新品で買うと3万円以上はしてしまう。当然靴にそんな額を投じるのは勇気がいることだ。

しかし、中古の革靴であれば1万5千円でグッドイヤーウェルト製法の、状態のよい靴を入手することができる。となると中古の革靴は魅力的な選択肢となるだろう。

②現行では味わえない質の靴が手に入るから

1990年代の英国製「チャーチ」

1990年代の英国製「チャーチ」。シワもきれいに入っている。

これは趣味として革靴に興味がある方に多い理由だろう。

現に革靴の値段は年々上昇の一途をたどっている。しかも、素材の質は低下する一方である、ともいわれている。

理由としては気候変動や牛の飼育環境の変化など、様々なことが言われているが、写真の旧チャーチの発色や風合い、そして良質な革本来の柔らかさは、現行のチャーチではまず味わえるものではないだろう。

ならば、中古で良質な旧年代の製品を買ってしまおう、と考えるのは自然なことだ。無論、このような場合に選択肢となる旧チャーチやオールデンなどは、モノによっては価格が高騰している傾向にある。

こうした理由で中古靴を狙う場合、そもそも中古しか選択肢がない状態となる。

中古革靴の注意点

さて、中古靴のメリットをお伝えしたところで、次はデメリットとその対処法について見ていこう。

①衛生上の問題

中古=他人が履いたものである以上、水虫のリスクはゼロではない。

しかし、適切な処置を行えば、あなたが考えているような懸念点は限りなく減らすことが可能だ。

実際私も10数足これまでに買ってきたが、現在も水虫などとは無縁だ。

対処法はいたって簡単。アルコール消毒+丸洗いで解決できる。

アルコール消毒はティッシュペーパーにアルコールの原液をつけ、内装をまんべんなく拭くことが肝心だ。これで水虫のもととなる白癬菌を殺菌する。その後、丸洗いをしてみよう。

丸洗いは難しく感じるかもしれないが、サドルソープを使い、乾燥を正しく行えば靴がだめになることは殆どない。ただし、年数が経っているビンテージシューズは内装の革が劣化していて丸洗いに耐えられない場合もあるので、プロに相談することをおすすめする。コツは、洗剤をしっかりと泡立てて内部を入念に洗っていくこと。また、洗う前と洗っている途中に、歯ブラシを使って内部のホコリをしっかりと取り除いておくことだ。丸洗いについては回を改めて詳しく説明したい。

②革靴のコンディションの問題

状態の悪い革靴にあたってしまった場合、履ける状態にするためにリペアせざるを得なくなってしまうし、満足度も低いものになってしまう。最悪の場合廃棄or安く手放さざるを得なくなり、金銭的にもロスとなってしまうだろう。

コンディションについては、状態のよい玉を目利きすることが肝心だ。安いからと言ってダメージのある個体に飛びつかないこと、これに尽きる。選ぶ際は、

  • なるべく履きシワがきれいなもの
  • 内装がきれいなもの

を選ぶと、状態のいい靴に出会えるだろう。

中でも、避けたほうがいい個体の特徴を軽く触れておこう。

これだけは避けたい中古靴

表革のヒビ

通称「クラック」。革自体が割れているため基本的に修理ができず、パッチワークを当てることになる。

中底(インソール)部分の割れ

靴の内部を見て、インソールの革が割れていないか。この部分は修理に多額の費用がかかる。

かかと・つま先に深いシワがある

かかととつま先には芯が入っているのだが、この芯にダメージがある靴は避けておこう。特にかかとに深いシワがある場合、前オーナーがかかとを潰している可能性が高い。

③サイズの問題

こちらも外せないポイント。どんなに好みに合っていて状態がよくても、サイズが合わない靴は絶対に買ってはいけない。また、安易にインソールを入れて調整しようとも考えてはならない。履き心地に少しでも違和感を感じたら「買わない」という決断をすることが、長く付き合える上質な靴を手に入れるポイントだ。慣れないうちは実店舗に足を運んで試着を繰り返すとよい。

どこで中古革靴を買うか

リサイクルショップ(セカンドストリートなど)

ビンテージというよりは良質な靴を安く手に入れたい、という人に向いている。東京圏であればセカンドストリートの高円寺店などが有名だ。

具体的な店名で言えば、セカンドストリート、トレファクスタイル、バズストア、中京圏の買取王国など。良質な輸入靴を求めるなら、コメ兵やRAGTAGもおすすめだ。特にコメ兵の新宿店は靴に力を入れており、専門の靴磨き職人が磨いてくれる。それでいて良心的な値段で購入することができるのでオススメだ。

専門店

千駄ヶ谷のSUPER8SHOESに代表される、靴専門の古着屋。主にビンテージ狙いの方にオススメだ。高円寺にも良質な靴を扱うお店が複数あるので、散歩がてら回ってみるのもよい。

高円寺で言えば、フローシャイムなどのアメリカ系はSAFARI、タニノやグッチなどのヨーロッパ系はTRUNKやアネモネなど、靴だけでなくトータルで楽しめるお店が揃っている。

ネット

ネットはかなり上級者向けと考えておきたい。まずは実店舗で欲しいブランドの革靴をいくつか試し、自分のサイズ感を把握しておくとよいだろう。お目当ての靴が現行品なら、デパートなどで試着するのも手段の1つではある。

大まかな自分のサイズやメーカー別・ラスト(木型)別のサイズ感がわかったら、ヤフオクやメルカリを試すのがよいだろう。たとえメーカーが同じでもラスト(木型とも。靴の形を決める需要な要素)別にサイズ感が変わることも多いので、注意が必要だ。

まとめ

以上、中古靴を買うメリット、デメリットとその対処法、そしてどこで買うべきか、ということについて見てきた。

ビンテージを求める人、または良質な靴を安く手に入れたい人のどちらにも役立つ情報なので、ぜひ抑えておいていただきたい。

ケミカルな靴に甘んじていたあなたも、気軽にグッドイヤーウェルト製法の靴を手に取り、安定感のある履き心地と蒸れにくい快適性を実感していただきたい。

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