ボロボロの革靴は修理できる!長く使えるレストア方法を解説

「ボロボロの革靴は捨てるしかないのか・・・?」

そう悩む人は、お気に入りの靴を履き込んだかもしれないし、憧れの希少な靴を中古で入手したかもしれない。

実は筆者もそう考えた1人だ。数年前に中古靴を買ったときのこと。あまりの状態の悪さに、「購入代金をドブに捨てた」と途方に暮れた。

しかし、今では見事に第一線で活躍する靴にすることができた。筆者の事例を参考に、「直して使う」という選択肢を考えていただければ幸いだ。(※退役済み。2021/09追記)

もし自分で修理する時間がなくても、買取サービスに頼めば数千円値段がつくこともある。特に「リーガル」のような有名ブランドの場合は捨てる前に申し込みをしてみよう。

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筆者のボロボロ中古靴体験談

かねてより憧れていた「Alan Mcafee」という英国靴をヤ○オクで手にしたのは数年前。

一見すると綺麗なこの靴、とんでもない「ボロボロポイント」をいくつも抱えた「ボロ靴」だった。

ボロボロポイントその①:履き口

かかとの部分が裂けていて、内装もかなり擦れている。おそらく前のオーナーは靴べらを使っていなかったのだろうか。

筆者は中古靴を購入した際、必ず「丸洗い」をするようにしている。状態のいい靴なら洗っても壊れることはまずない。しかし、この靴は違った。

水につけた瞬間、黒い破片とともに履き口が裂けていき、内装の革が捲れ始めたのだ。

ボロボロポイントその②:謎の塗り物

リグロインで塗料を落としているところ。黒いカスが、リグロインで剥がれた塗料だ。

それだけにとどまらなかった。一定の価格帯以上の靴は表面加工のしていない「自然な革」を使っている。そうした革であれば生前の毛穴が見えるはずなのだが、この靴はところどころ「毛穴の見えない」箇所があった。

リグロイン(木版の洗浄などに使われる、強力な脱脂剤)を使ってなでてみると、布が一瞬で真っ黒になった。そう、革の上に樹脂系の塗料が塗られていたのだ。

樹脂系の塗料を塗ると雨には強くなるだろうが、栄養分や油分が染み込まない。そのためクリームを使ったお手入れができなくなる。革靴について少しでも知っている人なら、まずやらない方法だ。

ボロボロポイントその③:ひび割れ

古い靴や使い込んだ靴にありがちなのが「革のひび割れ」だ。定期的にクリームでお手入れされていない靴はこうしたひび割れが起こりやすい。塗りものや履き口の状況から察するに、前のオーナーさんはこの靴を適当に使っていたことが推測された。

ボロボロポイントその④:謎の穴

前のオーナーさんが適当な扱いをしていたと思われるもう一つのポイントが、土踏まず部分に3つずつ開けられた穴だ。純正の状態ではここに穴はないため、人工的に開けられたものと考えられる。

しかし靴が蒸れるのは通気孔がないからではなく、サイズが合っていないなどの別の要因である場合がほとんどだ。当然、土踏まずに穴を開けても蒸れ防止にはならない。

ボロボロ靴を修理する

この惨状を見て「捨てようか」という考えも頭をよぎった。しかし「Alan Mcafee」は英国靴のトップブランド「チャーチ」が、今では手に入らない良質な革を使い、丁寧に仕立てた靴だ。現存する足数も少ないため、とりわけマイサイズとなると探すのも難しい希少な靴だった。

そこで、筆者は「修理する」という道を選んだのだった。

履き口&内装の張替え

とはいえ履き口と内装が崩壊したため、修理しないと履けない。幸いこの部分は修理ができる。内装の革をすべて交換し、履き口を補強すればいいのだ。

ここは大掛かりな修理になるため、ビンテージシューズ専門店にお願いすることにした。数カ月後、修理から上がってきた靴がこちら。

いかがだろうか?きちんと履ける状態になり、強度も大幅にアップした。

金額の内訳は

・履き口補強:5500円

・内装交換:5500円

内装と履き口はどれだけ悲惨な状態でも、1万円程度出せば修理することができる

特に内装は厚みのある革を使って修理していただいたので、そう簡単に擦り切れることもなさそうだ。

リグロインで塗り物を落とす

樹脂系の塗料となると、ステインリムーバーなどで落とすことは不可能だ。

この場合はリグロインという溶剤を使って落としていく。布に含ませ、比較的強めにこすると塊がボロボロと落ちてくる。リグロインといえど塗料が相手の場合、いっぺんには落とせないかった。

しかしがむしゃらに繰り返すと革を傷める危険がある。革の潤いをなくしてしまうからだ。そこでオリーブオイルを少量すり込み、革の保護を行うことにした。

リグロイン→オリーブオイル→リグロイン→・・・

このように繰り返すこと数時間、ようやく塗料を落とすことができた。

ひび割れはチャールズパッチor革のメンテナンス

ひび割れに関しては補修することもできたが、今回は通常の保革(お手入れ)作業で済ませることにした。いずれひび割れがひどくなり、どうしようもなくなったら「チャールズパッチ」を検討したい。

チャールズパッチとは、簡単にいうと「つぎはぎ」のこと。イギリスのチャールズ皇太子が20代の頃に仕立てたジョンロブの靴を「つぎはぎ」しながら今も愛用していることが由来だ。筆者の靴はフルブローグ(ウイングチップ)なのでつぎはぎも絵になりそうだ。

筆者のボロボロ靴から学ぶ教訓

さて、筆者のAlan Mcafeeは数十年と年数が経っている靴だが、丁寧に使えばもっと状態は良かったはずだ。「ボロボロポイント」を生じさせずに長年使うための教訓を考えてみよう。

靴を履くときは「必ず」靴べらを使う

靴べらを使わずに足をねじ込むと、かかとがすぐに擦り切れてしまう

履くときは必ず靴紐を緩め、靴べらを使おう。

塗っていいのは靴クリームだけ

「革は水に弱い」→「コーティングして解決しよう」はナンセンスだ。

とくに樹脂系の塗り物・コーティングは革を傷める原因になる。潤い成分を補給できなくなってしまうからだ。

定期的なメンテナンスを欠かさない

1ヶ月に1度はメンテナンスを行おう

人間の肌が潤いを失ってカサカサになるのと同じように、靴も定期的に油分・水分・栄養分を補給しないとひび割れてしまう。とくに指の付け根部分は屈曲し、負担がかかる部分だ。革が柔軟性を失うと真っ先にひび割れるだろう。

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