革靴の傷を防止する方法はあるのか?

「高い革靴を買ってみたけど、傷が入ってしまう」と悩んでいないだろうか。

そしてこの記事を読んでいるということは、「革靴の傷を防止する手段はないかな?」と考えているはずだ。

結論から言うと、革靴の傷を防止する手段はある。方法はいくらでも紹介できる。

しかし、筆者は「傷を防止する」という行動をおすすめしない。傷は「防止する」よりも「うまく付き合う」という考え方のほうが、結果的に靴が長持ちするからだ。

今回は、革靴の「傷との付き合い方」について解説していこう。

「傷を防止する」という考え方が、革靴をダメにする

革靴を大切にするあまり、「革靴の寿命を縮める行為」を行ってはいけない。というのも、「傷から防止する」場合は靴にとってよくない加工をしなければならないからだ。

「防止する」には変なものを塗りたくるしかない

傷を防止する方法はいくつもあるが、どれも「革の上にコーティングをする」というアプローチにならざるをえない。樹脂などを革の表面に塗りたくることになる。

しかし、この「塗りたくる」という行為が革靴の寿命を縮める行為そのものだ。
革製品をいい状態で保つには、

・水分

・栄養分

・油分

この3つが常に革にとどまった状態を維持する必要がある。これらは靴を使うごとに抜けていくので、定期的にブラッシングをしたり補充する必要がある。
しかし、上に塗り物をしてしまうとクリームなどが遮られ、補充ができなくなってしまう。そうすると革はどんどんパサパサになっていき、最終的にはバリッとひび割れてしまう。

塗っていいのはワックスだけ。でも、「靴磨き」を趣味にできますか?

しかし、革の表面に塗ってもいいとされるものが1つだけある。それは「靴用のワックス」だ。これはつま先やかかとにワックスの層を造り、光らせることができる。

ワックスは革靴の傷をある程度防止することもできる。靴が障害物にぶつかった際、革の代わりにワックスの層が傷つくからだ。

なぜワックスだけは塗っていいのかというと、「落とすことができる」からだ。
ただし、ワックスの扱いには慣れがいるし、習得にも時間がかかる。あなたが「靴磨き」を趣味にし、時間をかけられるのであれば傷防止の手段になるだろう。しかし、もう少し靴を手軽に使いたいのなら時間とワックス代の無駄になる。やめておいたほうがいいだろう。

革靴の傷に対する「考え方」を変える

「防止する」というアプローチが革靴をダメにするのであれば、傷と「付き合う」という考え方をするのがおすすめだ。「傷は諦めろ」と言っているのではない。普段の「お手入れ」によって、革靴をきれいな状態で使うことができると言っているのだ。

靴は一番酷使される服飾品で、どんなに丁寧に履いたところで傷を避けることはできない。まして軽い擦り傷程度ならなおさらだ。「傷がついた!」と一喜一憂するのではなく、うまく「付き合う」と考えるほうが精神衛生的にもいいだろう。

軽微な傷なら、お手入れで消せばいい

「消せばいい」と言ったが、実は傷を完全に消すことはできない。傷のお手入れの際は、「なるべく目立たなくする」という考え方で臨むべきだ。

「それでは意味がないじゃないか!」と思わないでほしい。革靴をきれいに履いている人は必ずと言っていいほどお手入れで「傷を目立たなくする」というアプローチをしている。浅い傷であれば、ほぼ消えたと言ってもいいほど目立たなくできるだろう。

まずは豚毛ブラシを使い、傷部分を中心にブラッシングしていこう。革に油分が豊富に含まれていれば、この段階で傷はほぼ目立たなくなる。

もし満足の行く結果が得られなければ、オイルアップと補色をしてみよう。下記のページで詳しく説明している。

革靴の手入れの仕方を解説!長持ちさせる方法とは

大きな傷が入れば、プロに任せる

しかし、ブラッシングでは消えようがない傷もある。こういった場合は潔くプロにお願いしよう。

こうした「大きな傷」は、革の表面が目に見えて損傷を受けている場合だ。もっと具体的に言うと、触ったときにデコボコしていたら「大きな傷」と考えていい。

自家補修は危険

ネット上には自分で補修する方法も解説されているが、筆者はおすすめしない。大きな傷の補修方法は色々あるが、どの方法も

・傷の部分を「削る」

・パテなどで「埋める」

という2工程が共通している。しかし、こういった「素材への加工」を我々素人がやると大怪我につながり、最悪靴をダメにしてしまう。「削る」工程で革に穴を開けたり、予期せぬ部分を削ってしまう。「埋める」工程ではパテ剤をうまく扱いきれずデコボコになる場合も多い。特にパテ剤は扱いが難しく、素人の手に負えるものではない。

革靴の傷は「付き合う」もの

革靴の傷を「防止する」という考えを持っていた人は、考え方を変えたほうがいい。傷と「付き合う」という思考になれば、あなたの革靴は長持ちするだろう。

「防止する」事を考えた場合、現代の技術では革靴に「塗り物をする」方法しかない。しかし塗り物は革の維持に必要な「油分」や「栄養分」の補給ができなくなり、革をひび割れさせる結果につながる。

多少の傷ならブラッシングで消えるし、有色の靴クリームを使ってお手入れをすればほぼ目立たなくできる。革靴を綺麗に履いている人はこうして必ず「傷と付き合う」姿勢をとっているのだ。

ただし深い傷は素人修理が難しい場合もある。自信がない場合はプロに任せるのがいいだろう。

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