革靴の表面がボコボコになる現象が「銀浮き」だ。
主に爪先部分で起こり、写真のような状態になる。こちらは軽度の銀浮きだが、症状がひどい場合には水ぶくれのようになってしまうケースもある。
では「革が荒れてしまっては戻しようがないのでは?」かというと、そうでもない。
銀浮きは、正しい処置をすれば、もとに戻すことができるのだ。
銀浮きを治す方法は何通りか紹介されている。しかし、脱脂作業など初心者には難しい場合も多い。
実際に筆者が革靴ケアを始めて間もない頃に銀浮きを経験したことがある。ネットで調べてボコボコを治そうとしたものの、間違った処置をしてしまい革を傷めてしまった。
この記事を読み終える頃には
・初心者でもできる「確実な」銀浮きの直し方
が明確に理解できる。それではいってみよう。
目次
革靴の表面がボコボコに・・・「銀浮き」とは
革靴の表面がボコボコになるのが「銀浮き」だ。
銀浮きは雨に濡れた革靴で起こる場合が多いが、主に下記のいずれかが原因となる。
・革の銀面(最も表面の層)が水でふやけ、そのまま乾燥する
・革内部の汚れが水で浮き上がり、銀面の内部に滞留する
革は層構造になっており、最も表面の部分を「銀面」という。
水濡れなどによって銀面が浮いたようになるので「銀浮き」と呼ばれているのだ。
銀浮きを直す最強の方法、それは「丸洗い」
結論から言ってしまうと「洗えば取れる」。
銀浮きは革の「銀面」がふやけることでおきるため、
・銀面を再び濡らし、平らに戻す
・銀面と床面の間に入った汚れを取り除く
というアプローチをすればよい。
この2つを実現するのが「丸洗い」というわけだ。
革靴のケアに慣れている方であれば写真のように靴の表面のみを濡らす方法(以下、パック方式)でもいいのだが、適切な脱脂作業や水分の補充を行わないと濡れムラが生じてしまい、失敗しかねない。
特に初心者の場合であれば症状の深刻度を問わず丸洗いを行ったほうがいいだろう。
軽度でも重度でも丸洗いをすべき理由
銀浮きを直す際には大なり小なり「濡らす」という工程が不可欠だ。これは熟練者でも初心者でも変わらない。丸洗いにしろパック方式にしろ、「濡らす」という意味では一致している。
他の記事を見ていると「軽度ならデリケートクリームで直ります!」というものもあるが、おすすめしない。筆者は失敗して革を傷めたことがある。
そもそもデリケートクリームは銀浮きのケアを目的としたものではなく、「濡らす」という意味では役不足だ。それに他の成分も入っているため、余計に症状を悪化させる危険もあるだろう。
銀浮きした革靴の丸洗い法
銀浮きを直す場合は、通常と同じ丸洗い方法でいいだろう。
丸洗いの工程は6つ。時間にして3日〜1週間ほどかかる。
①下準備(脱脂)
→ホコリ取り&リグロインやリムーバーを使い、脱脂
②漬け込み(1回目)
→靴全体をを均等に濡らす
③洗う
→ボディソープや専用の洗剤で汚れを取る
④漬け込み(2回目)
→すすぎの作業
⑤乾燥
→デリケートクリームで保湿しながら3日ほど乾かす
⑥オイルアップ
→油性クリームで油分を補給し、磨く
必要な道具など詳しくは、下記の記事を参考にしていただきたい。
さて、冒頭で写真に載せた銀浮き靴を洗った直後、すすぎが終わった様子がこちら。
いかがだろうか。銀浮きがきれいに消えているのがわかるだろう。革も傷つかず、うまく仕上がっている。
銀浮きの解消は「濡らす」という工程が必要不可欠なのだ。
丸洗いに時間を割けない場合はプロに頼むのも手
とはいえ革靴の丸洗いには相応の手間と時間がかかる。特に丸洗いの肝は乾燥の段階で、失敗するケースの多くが「乾燥しきらず、カビを生やす」というものだ。
正直ビジネスマンの場合は時間がないことも多く、かといって休日の2日間で作業を終わらせることはできない。筆者のように慣れている人でも忙しいと乾燥に失敗→カビを生やすというケースもよくある。あるいは途中で雨に降られ、最初からやり直し・・ということにもなりかねない。
そんなときはプロに任せるのも手だ。靴専門のクリーニング業者なら銀浮きの経験も豊富で、きれいに仕上げてくれる。
有名なのはくつリネットというサービスで、1足3000円程度で仕上げてくれる。
全国から宅配で受け付けているので、地方で近くに靴クリーニング店がない・・・という場合にも便利だ。