革靴に生えたカビ!取る&防止する方法を徹底解説

革靴についた、謎のふわふわ。もしくは写真のように、白い斑点かもしれない。

もしかして、「ヤツ」だろうか・・・?ご明察。ヤツは「カビ」である。

あなたは靴好きなのか、一般のビジネスマンなのか筆者は知らない。しかしこの記事を読んでいるということは、少なからず落胆するこの気持ちをわかっていただけるのではないだろうか。筆者も今、写真の靴にカビを生やしてしまったばかりだ。

しかし安心してほしい。革靴に生えたカビは取ることができる。カビという「敵」を正しく理解し、正しい手法で除去すれば革靴はよみがえる。そればかりか、カビの発生を防止することだってできるのだ。

この記事を読み終える頃には

・革靴に生えたカビの取り方

・カビを防止する方法

が明確に理解できる。それではいってみよう。

革靴のカビは取れるし、防止もできる

「カビが生えた。この革靴、捨てよう」・・・諦めるのはまだ早い。

たしかに一度カビが生えた革靴を使うことに抵抗がある方もいるかも知れないが、多くの場合はカビを「完全に」除去することが可能だ。つまり、元通りに使うことができる。

これから筆者が冒頭の革靴を使い、カビの除去を行っていくので、捨てるのはこの記事を読了してからにしてほしい。

記事の後半では再発防止策もお伝えする。「カビ防止」は靴選びから下駄箱の環境まで関わるので、ぜひ一度革靴を見直すきっかけにしてほしい。

【敵を知る】革靴に生えるカビを知る

カビが発生するにはいくつかの条件がある。そして、カビには「簡単に落とせるカビ」と「やっかいなカビ」の2種類がある。

効果的な除去のためには正しいカビの知識が必要だ。重要な部分なので読み飛ばさずに一読してほしい。

カビが生える4つの条件

以下の4つがそろったとき、カビが発生する。

酸素カビも呼吸が必要だ。

温度人間が快適な環境は、カビにも快適。

水分湿度80%以上が、カビには快適だ。

栄養汚れだけでなく、ホコリも格好のエサになる。

除去において重要なのが、この内の最低どれか1つを取り除くことだ。①と②は現実的ではないので、一般的には③と④に対してアプローチをしていく。

カビの種類

取るのが簡単なカビと、やっかいなカビの2種類が存在する。あなたの靴に生えているのはどちらだろうか。

白カビ/緑白カビ

攻略難易度★☆☆

このカビは取るのが簡単で、かつ跡形もなく除去できる。

白カビは根を張ることができず、表面に「乗る」生え方をする。これは「跡が残りにくい」ということでもある。

筆者の靴に生えているのは白カビだが、今回も問題なく対処できそうだ。

黒カビ/赤カビ

攻略難易度★★★

このカビは除去すること自体はできるが、跡が残ってしまうという点で厄介だ。

黒カビと赤カビは根を張ることができるという特徴がある。除去後、この「根」の部分が跡になって残ってしまうのだ。

濃い色の革靴であれば比較的目立たないので使えるかもしれないが、薄い色の場合はみすぼらしく見えてしまうだろう。

もし薄い色の革靴にこの種のカビが生えてしまったら、濃い色に染め直しという選択肢もある。

革靴に生えたカビの落とし方

さて、前提となる知識を備えたら次は実践編だ。カビを取る際には大まかに

下処理→消毒→洗浄

という流れを踏む。ここではわかりやすくコツを掴んでもらうため、もう少し細かくステップに区切り、解説していこう。

STEP1:乾かす&ホコリを取る

まずは下処理から行っていこう。革靴が濡れているか湿気ている場合、まずは乾燥を徹底しよう。

次に、馬毛ブラシで表面を、使い古した歯ブラシで内面のホコリを落としていく。特に靴の内側には靴下の繊維などで大量のホコリが溜まっている場合が多いので、念入りに行なってほしい。

STEP2:患部のカビ取り

ここからは消毒の工程だ。レザー用のカビ取り剤を布に染み込ませ、まずは生えたカビを落としていく。

カビ取り剤の主成分はエタノールだ。これによってカビの息の根を止め、発生源となる汚れもろとも拭き取っていく。

カビ取り剤については通常の消毒用アルコールでも代用できるが、靴の色落ちが発生するため要注意だ。特に内装の革は色落ちがしやすいので、気になる場合は専用の調合がなされたカビ取り剤のほうを使おう。

STEP3:靴全体の消毒

ある程度時間をおいたら、靴全体の消毒作業を行おう。

カビ自体はSTEP2で取り除いたものの、他の部分に胞子が付着している可能性があるからだ。

STEP2とは別の布に改めてカビ取り剤を含ませ、靴の内側・外側両方をまんべんなく拭いていこう。

STEP4:乾燥

ここで一度乾燥の工程を挟む。風通しのよい屋外の日陰に靴をおき、2、3日〜1週間ほど乾燥を行う。十分に乾燥したら、消毒の工程は終了だ。

事前に天気予報のチェックを忘れてはいけない。雨に降られて最初からやり直しになっては目も当てられない。

STEP5:丸洗い

ここからは洗浄死滅したカビを洗い落とす仕上げの工程だ。以下の記事を参考に、表革ならサドルソープかシャンプーを、スエードならスエードシャンプー、または普通のシャンプーを使って丸洗いをしよう。

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サドルソープを使う場合は石鹸カスが残りやすく、靴が白くなってしまう場合があるので念入りにすすぐこと。

丸洗いはコツが必要で、初心者にはやや難易度が高い。不安なら無理をせずプロにお願いしよう。「くつリネット」なら全国から郵送で依頼することができる。

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STEP6:仕上げのお手入れ

最後に革に必要な潤いを補給しよう。丸洗いしっぱなしでは革の寿命を縮めてしまう。

表革の場合は以下の記事を参考に、スエードなら専用の保革スプレーを吹き、豚毛ブラシでブラッシングを行おう。

カビの防止方法

以上見てきたように、革靴にカビを生やすととても多くの工程がかかる。プロに丸投げするのも賢い方法ではあるが、その場合でも長期間革靴は使えなくなる。

言うまでもなく、カビが生えない状態をキープするのがベストだ。では、カビを予防するにはどうしたらいいのだろうか?

湿気の溜まる使い方をしない

適切なサイズの靴を3足揃え、交互に履いてみよう。それだけで革靴の湿気は大幅に低減できるはずだ。

多くの人は、革靴に湿気を溜め込みすぎている。毎日同じ革靴を履いていないだろうか?

革靴は1日に「コップ1杯分」という大量の汗を吸っている。それでも中2日休ませれば乾燥できるが、毎日履き続けると絶えず湿気を補充する状態になる。

もうひとつ、スニーカーと同じサイズで革靴を選んでいないだろうか?スニーカーと革靴では規格が違う。1〜2cmはサイズを落とさないと、革靴はぶかぶかの状態になる。

ブカブカの革靴を履くと足が固定されず、無意識に足が踏ん張ろうとする。結果発汗量が増え、湿気が溜まるスピードは加速度的に早くなるのだ。

[link]

ホコリを貯めない

靴を使ったら必ず馬毛ブラシでホコリを払おう。また、歯ブラシを使い、定期的に靴の内側に溜まったホコリを掃除する習慣をつけよう。

ホコリはカビにとって、格好のエサだ。一度でも使った革靴には、細かいホコリが付着している。帰ったら必ず取るようにしよう。

意外と見落としがちなのが、靴の内部のホコリだ。特につま先の先端の部分にゴッソリと溜まっている場合が多い。靴下の繊維がちぎれ、知らないうちに押し固められているのだ。

[link 馬毛]

[link 歯ブラシ]

下駄箱の換気

毎日10分ほど、下駄箱の扉を開けておこう。

換気を行い、湿気を逃せばカビのリスクは大幅に低減できる。

可能であれば、スチールラックを下駄箱代わりに使っても効果的だ。湿気の溜まりやすい靴底部分が外気にさらされるので、湿気がうまく逃げてくれる。できない場合は、靴の下にすのこを入れるのも効果がある。

雨の日に使ったらしっかり乾燥する

内部まで濡れた革靴は、最低でも3日〜2週間ほど乾燥させよう。

革靴がずぶ濡れになると乾燥させるのは当たり前だが、乾ききらないうちに使ってしまう人があまりにも多い。アッパーの革の部分が乾燥しただけでは不十分だ。インソール(靴底の内装部分)が最も遅く乾くので、インソールの乾燥=靴の乾燥という意識を持とう。ここまで乾くのに、最低でも3日はかかる。

カビの処理を「革靴」との向き合い方考えるきっかけにする

カビは一度生やしてしまうと、取り除くのに少なからぬ手間と時間がかかる。

「革靴に生えたカビの処理などに時間をとってられない」・・・特に一般のビジネスマンの場合は正論だろう。しかし、

「でも、奮発して買った高い靴だから」

「大切な人からの贈り物だから」

なかなか捨てられない・・・

そんな場合はカビ取りの全行程を行ってくれる業者に丸投げするのも賢い選択だ。くつリネットは全国から郵送で依頼できるので、とてもおすすめだ。

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しかし、再発防止の対策は徹底してほしい。先ほど説明した方法を実践すれば、カビに悩まされる可能性は大きく減らすことができる。

たとえ授業料になってしまっても、今まで気にかけてこなかった「革靴」というモノへの向き合い方を考えるきっかけになれば幸いだ。「日本のサラリーマンはおしゃれになった」ともいわれているが、「靴」への意識はまだまだ高いとは言えない。その証拠に、

「毎日同じ靴を履く」

「スニーカーと同じサイズを選ぶ」

「足だけで脱ぎ、かかとを潰す」

というような扱いをする方がまだまだ多い。これらは靴の寿命を縮めるだけでなく、足に負担をかけ、歩行姿勢を崩し、長期的には足腰、ひいては体調まで左右する。

靴、椅子、タイヤといった「地面と接するものには注意とお金をかけよ」という格言があるように、もっと足元に注意を向ける日本人が増えることを願ってやまない。

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