「革靴の型崩れを防止したい」という考え方はとても重要だ。
型崩れは靴の見た目だけでなく、歩行姿勢を崩す。そうすると足腰を悪くする原因になってしまうからだ。
結論から言うと、
・シューキーパーを使う
・かかとが減ったら修理する
この2つを心がけるだけで型崩れを防ぐことができる。
今回は、革靴の型崩れを防ぐ方法を詳しく解説していこう。
目次
型崩れ防止法①:シューキーパーを入れる
シューキーパーとは「靴のハンガー」のようなものだ。履いたあとの靴は多少の型崩れを起こしているため、靴の形を整える必要がある。使用後にシューキーパーを使えば型崩れを都度リセットできるというわけだ。
シューキーパーの使い方
脱いだらホコリを払う
帰宅後はシューキーパーを入れる前に、まずは馬毛ブラシを使って靴についたホコリを払っておこう。ホコリをそのままにすると見た目も悪いし、革の寿命を縮めてしまう。ホコリは繊維質なので、革の潤いを奪ってしまうからだ。
ブラシはほうきで掃くように、1方向に軽く掛けるときれいになる。
玄関に1晩「放置」する
ホコリを払ったあとは靴を1晩乾燥させておこう。玄関に放置すればOKだ。
すぐにシューキーパーを入れる人もいるが、カビが生えるのでおすすめしない。1日使った靴は大量の汗を吸収しているので、「ある程度」水分を飛ばしておくことが大事だ。シューキーパーを入れやすくするために、靴紐は緩めたままにしておこう。
翌朝、シューキーパーを入れる

シューキーパーはバネで伸縮するようにできている。かかと部分を押し込み、靴の前半部分までシューキーパーが行き届くように入れよう。
ここでようやくシューキーパーの出番だ。靴の先端部を抑え、シューキーパーを入れていく。靴のかかとへの負担を軽くするため、シューキーパーの後端部をぐいっと押し込みながら入れていこう。
靴が少し湿った状態でシューキーパーを入れることで、成形効果が高まる。靴が完全に乾燥するまでは最低2日ほどかかるので、カビが生えない程度に乾燥した「1晩」のタイミングがベストだ。
シューキーパーの材質
シューキーパーには大きく分けて
・木製
・プラスチック製
がある。プラスチック製のほうが安いが、ここは純粋に予算と相談して決めればいいだろう。一方で木製のほうが機能面で優れていることが多い。
木材(レッドシダー、ブナなど)
お値段は4000〜と少し高めだ。
メリットは
・消臭効果が高い
・多少の吸湿性も期待できる
・見た目がいい
ということ。ただし吸湿性はおまけ程度と考えたほうがよく、帰宅後すぐに入れてしまうとカビが生えてしまう。また、高価格帯のシューキーパーはニス仕上げがされているものもあり、この場合は吸湿性がないので注意しよう。
プラスチック
1000円程度で購入できるので、コスパがいい。
メリットは
・なんといっても安い
こと。何個も用意することができるので、靴を多く持っている人にもおすすめだ。
シューキーパーの形状
シューキーパーを選ぶときは、かかとの形に注意しよう。
かかとが直線のタイプ
このタイプはあまりおすすめしない。長期的には靴にダメージを与える可能性があるからだ。
シューキーパーはバネの力で靴に圧力をかける作りになっている場合がほとんどだ。しかし、この形状の場合はバネの力が靴のかかと後部に集中してしまう。靴のかかと部分には「月型芯」という重要な骨組が入っているが、このパーツを傷めやすいのだ。
かかとの部分が靴の履き口にフィットするタイプ
おすすめはこのタイプだ。バネの力を分散して掛けることができるので、靴の月型芯を傷めずに型を保つことができる。一定以上の価格帯であればまずこの形状だが、プラスチック製であってもかかとの形状にはこだわって選ぶといいだろう。
型崩れ防止法②:ヒールの削れを放置しない
靴の型崩れを防ぐためには、ヒールの削れを適切に管理することも重要だ、
ヒール部分が削れすぎてしまうと、靴全体が歪んでしまう。こうなるといくらシューキーパーを使ったところでもう元には戻せない。
ヒールが削れると靴だけではなく歩行姿勢が悪くなる
さらに、こうして歪んだ靴を履き続けると膝や腰を痛める原因になる。
靴が歪んでいると正常に足が接地できなくなるため、不自然な歩き方になってしまうのだ。結果として膝や腰にダメージが蓄積され、加齢とともに重大な疾患につながる。
ヒール交換時期の見極め方
革靴のヒールには「積み上げ式」と「ブロックヒール式」がある。
下記の写真を確認し、あなたの革靴がどのタイプか見極めてみよう。
積み上げ式の場合
一番下の層(トップリフト)が摩耗したら交換だ。ここはゴムになっており、比較的容易に交換ができる。
2番目以降の層は革になっているが、この部分は摩耗させてはいけない。もし2番目以降が削れるとヒール全体の交換となり、修理代が6000円程度になってしまう。
ブロックヒール式の場合
この場合は1cmほど削れたら修理する癖をつけておこう。
一体成形になっているため、交換する場合はヒールまるごと付け替えとなる。修理代は積み上げ式と比較して安い場合が多いようだ。
ただし、だからといって限界まで削れるほど履いていいわけではない。靴の型崩れを招いてしまう。
ヒール交換の相場
ヒール交換は3000〜5000円が相場だ。
価格は工賃の他に、ヒール材のブランドによって変動する。
ヒール材についてはビブラム社が最も有名だが、タイヤメーカーとしての実績もあるコンチネンタル社もおすすめだ。
しかし、ヒールがすり減るごとに数千円のお金を払って修理するのも負担だろう。
自家修理も可能【コスパがいい】
そこで、市販の靴底修理剤も併用してみよう。こうすることでコストの削減につなげることができる。
おすすめはセメダインのシューズドクターだ。ShoeGooなど他ブランドの製品もあるが、
・削れにくく塗りやすい
・手に入りやすい
ことからシューズドクターのほうがおすすめだ。
シューズドクターで何度か補修を繰り返すうち、ヒール材そのものが限界だと感じたら修理店に持ち込み、交換を依頼するといいだろう。
型崩れの防止は膝や腰のケガ予防につながる
革靴の型崩れは靴だけでなく身体、とりわけ足腰に悪影響をもたらす。
型崩れを防ぐためには
・シューキーパーを使う
・かかとが減ったら修理する
この2つを徹底しよう。
シューキーパーに関してはかかとの部分が靴の履き口にフィットする形状のものを選ぼう。
かかとの修理に関してはまずシューズドクターで自家補修し、ヒール材がだめになってきたら修理店で交換という流れがいいだろう。